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ゆずきのBL小説ブログです。                      頼りになる幼馴染攻め×おねしょが治らない受けです。        ちまちま更新します。
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みなさま初めまして。
ゆずき と申します。
唐突にオリジナルBL小説が書きたくなったので、ブログという形で綴ってみようかと思います。
BLですので、男同士の恋愛です。
さらに、受けが「おねしょが治っていない」という、かなり好みの分かれる設定です。
エロいシーンはほぼ無くて、おねしょというキーワードが前面に出ると思います。
どうぞ、ご注意の上、ご覧いただければと思います。
ブログとして晒しておいて、勝手な言い方にはなりますが・・・。

ブログのタイトル「恋の病は治療薬!?」は、小説のタイトルでもあります。
第一話から順に掲載してあります。

現在連載中はこちら  第三話 初めて、しちゃう?
最新のものは、「最新記事」からお読みください。

コメント随時受付中ですので、感想などございましたら、よろしくお願いします。
メールでのご連絡はこちらです(●を@に変えてください)
yuzukikuzuy●yahoo.co.jp


これまでのお話はこちら。

第一話 じゃなくて保留!

第二話 少年はkissで大人になる?




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どうしてうちの高校は、宿泊行事が毎年あるのだろう。
真瀬悠耶(ませ ゆうや)は、無意識に小さな溜息をついた。
「悠耶?」
隣を歩く神野崎力(かんのさき りき)に呼ばれて、はっと顔を上げる。
「明日の準備、もう終わった?」
力が優しく問いかける。
「ん……まだ」
「そっか、俺もまだ」
二人は真っ直ぐな道を歩いている。
K駅から国道沿いに十分ほど歩くと、二人の通う高校に着く。
その道の途中である。
力は、俺の考えていること、わかっているんだろうな……。
悠耶は、ちら、と三センチほど背の高い力の顔を見た。
すっと通った鼻筋、きりりとした眉の、彫りの深い顔は、それでもむさ苦しくは見えない。
頼もしげに引き締まった唇と、優しい瞳が、爽やかな好青年の印象を与えるからだろう。
大丈夫、力がいてくれるから……力が、同室だから。
悠耶は、この一週間で何度も繰り返してきた言葉をもう一度、自分に言い聞かせた。
明日から悠耶たち一年生は、一泊二日の宿泊行事である。
新幹線で数時間の移動をして、史跡をめぐって一泊して、伝統工芸を体験して、帰って来る。
それだけのことである。
ごく短期間といえども、学校や授業や我が家といった日常生活から開放されるイベントに、クラスメイトたちはそれなりに盛り上がっている。
だが、悠耶は誰もがこの非日常を喜ぶとは信じていなかった。
例えば、乗り物酔いが酷い人は、新幹線に数時間も乗るのはすごく辛いかも知れない。
そう考えて、宿泊行事が近づくにつれ、クラスを見回して悩んでいそうな友達を探してみたが、見当たりはしなかった。
悠耶はといえば、一泊、たった一泊だから、と自分を慰めている。
この一泊が問題なのである。
悠耶は、おねしょが治っていない。




悠耶と力は、家が隣同士の幼馴染だ。
二人は物心付く前から一緒に遊んだし、小学校も中学校も毎日、一緒に登校した。
同じ高校に進学してからも、その習慣は続いている。
常に、互いが一番の仲良し、という関係なのだった。
だから、というか何というか、力は悠耶が治っていないことを知っている。
悠耶が中学校の宿泊行事を乗り切れたのも、まったく力のお陰だった。
そして今回も、力は悠耶と同室になってくれた。
五人とか十人とかで一部屋だった中学時代に比べれば、今回の宿泊は何の問題もない。
二人で一部屋なのである。
事情を理解してくれている力との部屋割りになれた時点で、悠耶の不安はほとんど拭い去られていた。
とはいえ、自分の家でないところで、しかも力の目の前で、失敗の後処理をするのだと思うと、手放しに旅行を楽しむ気にはとてもなれないのだった。




悠耶がどれだけ気を揉んだところで、太陽は規則正しく昇ってしまう。
宿泊行事に出発する朝が来た。
何で、治らないのだろう。
シャワーを浴びながら、悠耶は慣れ親しみすぎた疑問と向き合っていた。
時刻は六時を過ぎたところ。
いつもより一時間ほど早い起床である。
悠耶のおねしょは文字通りの毎晩なので、夜はおむつを使っている。
そのため、ベッドや衣服を汚してしまうことはほとんどないのだが、シャワーは浴びることにしていた。
温かなお湯で顔や身体を洗うと、少しは気分もさっぱりする。
そうして服を着てしまえば、日中はさほど心配はない。
悠耶は、目が覚めてさえいれば、トイレが近いとか、我慢がきかないということはないのだ。
おねしょを除けば、最後に失敗してしまったのは、それこそ小学校の低学年の頃、記憶に残っているのは片手で数えられるほどだ。
それが、寝てしまうとだめなのだ。
授業中にうとうと、という程度なら大丈夫なのだが、夜の就寝はもちろん、乗り物の中や昼寝など一時的な睡眠でも、熟睡してしまうと三十分を過ぎた辺りから危なくなる。
そういう意味では、今回の新幹線での数時間の移動も、熟睡してしまうと危ないのだが、とにかく寝なければいいのだ。
隣には力もいるし、周りにはクラスメイトもいる。
わいわいやっていれば、眠る暇などないはずであった。
「じゃあ、行って来るね」
準備を整えて、悠耶は玄関から母親に声を掛けた。
「待って、お見送りするね」
「うん」
悠耶は、母親と一緒に玄関を出た。
隣の力は、まだ出てきていなかった。




真瀬悠耶が母親と共に家を出た頃、隣の家に住む神野崎力(かんのさき りき)は、やや焦っていた。
あとは財布を入れて、上着と、時計と……。
必要なものを、急いで用意する。
時刻は七時五分、悠耶との待合せ時刻を五分、過ぎていた。
力は、朝が弱かった。
普段より一時間も早く起きねばならない今日のような日は、力にとっても実は試練であった。
生憎、母親は彼よりさらに寝起きが悪く、父親は海外出張中、妹に起こしてもらう気にはなれず、目覚まし時計と携帯電話のアラームで頑張った結果が現状だった。
もちろん朝食も取らずに、力はリュックをかついで外に出た。
五月の朝は、凛としていた。
薄い日差しの中に、悠耶がこちらを見て立っている。
「ごめん、遅くなって」
力は悠耶に駆け寄って謝った。
「ううん、そんなに待ってないよ」
悠耶が柔らかく微笑む。
大きな二重の瞳が、愛らしく細められる。
綺麗だなぁ。
心の中で、力は呟いた。
悠耶は、背の割には肩も腰も華奢だ。
その身体を思い切り抱きしめたい、と力は密かにずっと考えている。
そのためには、告白して、付き合わないとな……。
「力くん、いつも迷惑かけちゃって申し訳ないけれど、悠耶のことよろしくね」
悠耶の母親の言葉に、力は現実に帰った。
「いえ、迷惑なんて。こちらこそ、よろしくお願いします」
力はぺこりと頭を下げた。
迷惑というのが具体的には夜のことなのだと、力は当然わかっているが、取り立てて言及したりはしない。
悠耶は恥ずかしそうに俯いている。
真実、力は迷惑だなんて少しも思ってはいなかった。
「気を付けてね、いってらっしゃい」
悠耶の母親に見送られ、二人は駅へと歩き出した。


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