ゆずきのBL小説ブログです。
頼りになる幼馴染攻め×おねしょが治らない受けです。
ちまちま更新します。
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部屋に戻ると、夕食の準備されている時間になっていた。
広間に用意された献立は豪華で、鍋、刺身、茶碗蒸し、天ぷらなどが、テーブルいっぱいに並べられていた。
おいしそうなものばかりなのに、その量が悠耶にはプレッシャーだった。
食べ切れるかという問題ではない。
食べた分だけ水分を摂取してしまうことが心配だった。
向かい合って座る力は、海老の天ぷらをおいしそうに頬張っている。
悠耶も天ぷらにかぶりついた。
食が進まないことで夜の不安を見破られては、せっかくの旅行で力に心配をかけてしまう。
精一杯のなんの心配もない素振りで、悠耶は完食した。
しかし、出された全ての水分を体内に取り込んでしまったと思うと、自分で自分を追い込んでしまったような気がして、だんだんと心細くなった。
いっそのこと、力に不安を打ち明けてしまおうか、と考えた。
力はきっと、大丈夫だと励ましてくれるだろうし、念のためにバスタオルを敷いて寝ることを勧めてくれるかもしれない。
そうすれば、かなり気が楽になるはずだ。
悠耶はそこまで思い巡らせて、軽く頭を振った。
これでは治る前と何も変わらず力を頼ってしまっている。
力の優しさや助けを待つだけなんて、対等な恋人とは言えない。
かといって、不安だからバスタオルを敷いて寝る、と自ら宣言することも、恥ずかしくてできなかった。
そんなことを悩んでいるうちに、部屋に着いてしまった。
きちんと二組の布団が整えられていて、まさに、あとは寝るだけだった。
だというのに、時間はまだ八時にもなっていない。
普段の就寝時間の、四時間ほど前だ。
悠耶は掛け布団を捲くって、真っ白なシーツを見つめた。
こんなに早く寝てしまったら、失敗してしまうのではないだろうか、と悠耶の不安は増すばかりだった。
実は冷静に考えれば、不安要素はあまりない。
悠耶は二ヶ月ほど前におねしょをしなくなって以来、一度の失敗もないし、起床時にぎりぎりまで我慢しているわけでもなかった。
けれど家のベッドでない、汚してはいけない旅館の布団に、初めておむつなしで寝るのだと思うと、不安を感じずにはいられなかった。

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広間に用意された献立は豪華で、鍋、刺身、茶碗蒸し、天ぷらなどが、テーブルいっぱいに並べられていた。
おいしそうなものばかりなのに、その量が悠耶にはプレッシャーだった。
食べ切れるかという問題ではない。
食べた分だけ水分を摂取してしまうことが心配だった。
向かい合って座る力は、海老の天ぷらをおいしそうに頬張っている。
悠耶も天ぷらにかぶりついた。
食が進まないことで夜の不安を見破られては、せっかくの旅行で力に心配をかけてしまう。
精一杯のなんの心配もない素振りで、悠耶は完食した。
しかし、出された全ての水分を体内に取り込んでしまったと思うと、自分で自分を追い込んでしまったような気がして、だんだんと心細くなった。
いっそのこと、力に不安を打ち明けてしまおうか、と考えた。
力はきっと、大丈夫だと励ましてくれるだろうし、念のためにバスタオルを敷いて寝ることを勧めてくれるかもしれない。
そうすれば、かなり気が楽になるはずだ。
悠耶はそこまで思い巡らせて、軽く頭を振った。
これでは治る前と何も変わらず力を頼ってしまっている。
力の優しさや助けを待つだけなんて、対等な恋人とは言えない。
かといって、不安だからバスタオルを敷いて寝る、と自ら宣言することも、恥ずかしくてできなかった。
そんなことを悩んでいるうちに、部屋に着いてしまった。
きちんと二組の布団が整えられていて、まさに、あとは寝るだけだった。
だというのに、時間はまだ八時にもなっていない。
普段の就寝時間の、四時間ほど前だ。
悠耶は掛け布団を捲くって、真っ白なシーツを見つめた。
こんなに早く寝てしまったら、失敗してしまうのではないだろうか、と悠耶の不安は増すばかりだった。
実は冷静に考えれば、不安要素はあまりない。
悠耶は二ヶ月ほど前におねしょをしなくなって以来、一度の失敗もないし、起床時にぎりぎりまで我慢しているわけでもなかった。
けれど家のベッドでない、汚してはいけない旅館の布団に、初めておむつなしで寝るのだと思うと、不安を感じずにはいられなかった。

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就寝時間を引き延ばしたい一心で、悠耶は力に話しかけた。
「そうだ、明日回るところ、ガイドブックで確認しとこうよ」
悠耶はしゃがんで、床に置いてある鞄の中からガイドブックを探した。
その背中に、力がのしかかった。
「わっ、力っ!?」
驚いて声を挙げると、力にぎゅっと抱きしめられた。
「ごめん、もう待てない」
呟いた力の声が熱かった。
悠耶は絡み取られるように、布団に押し倒されてしまった。
何が始まるのか考える間もなく、濃厚なキスに口を塞がれる。
悠耶は目を瞑って、口内を犯されるに任せた。
体が火照ってとろけそうで、ついさっきまでの心配も吹き飛びそうだった。
角度を変えて何度か口付けて、気の済むまで抱き合って……。
そんないつもの力を、悠耶が想像して、うっとりしていたときだった。
「えっ?」
夜着の合わせた部分から力の手が滑り込んできて、悠耶はびくりと目を開けた。
逞しい手は胸元を撫で回し、乳首を摘んでくりくりといじる。
初めて踏み入る行為に、悠耶は体を強ばらせた。
悠耶にも、これは男女が愛の証としてする例のあれだということは、なんとなく理解できた。
けれど、いまから自分たちがするなんて……。
悠耶にはまだ、実感も欲求もなかった。
男同士でどうするのかなんて、考えもできなかった。
悠耶が考えていなくても、力は考えていたようで、着々と白い肌は露にされていた。
つんと立った乳首に、舌が這わされる。
「や……」
甘い声が漏れて、悠耶は真っ赤になった。
舌と手とは容赦なく動き続ける。
「はっ……あっ……あ……」
恥ずかしいのに喘ぎを抑えられない。
身体が震えて、下半身が熱くなった。
もじもじと、腰が動いてしまう。
それに気付いたのか、力の手が悠耶の性器に移った。
「ああっ!」
敏感なそれを服の上からぎゅっと握られて、悠耶は思わず、一段と高い声を出してしまった。
「あっ、やっ、やだ……っ」
与えられ続ける刺激から逃れるように、悠耶は身を捻った。
事実、悠耶は逃げ出したいと思っていた。
このまま続けられると、都合の悪いことがあったのだ。
実は、悠耶はまだ、精通をしていなかった。
あれの大きさは普通だし、自分でこすれば勃起もする、達することもできる。
けれど、出ない。
おねしょという相当恥ずかしい秘密を知っていた力にさえ知られたくないこの悩みが、このままではばれてしまう。

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「そうだ、明日回るところ、ガイドブックで確認しとこうよ」
悠耶はしゃがんで、床に置いてある鞄の中からガイドブックを探した。
その背中に、力がのしかかった。
「わっ、力っ!?」
驚いて声を挙げると、力にぎゅっと抱きしめられた。
「ごめん、もう待てない」
呟いた力の声が熱かった。
悠耶は絡み取られるように、布団に押し倒されてしまった。
何が始まるのか考える間もなく、濃厚なキスに口を塞がれる。
悠耶は目を瞑って、口内を犯されるに任せた。
体が火照ってとろけそうで、ついさっきまでの心配も吹き飛びそうだった。
角度を変えて何度か口付けて、気の済むまで抱き合って……。
そんないつもの力を、悠耶が想像して、うっとりしていたときだった。
「えっ?」
夜着の合わせた部分から力の手が滑り込んできて、悠耶はびくりと目を開けた。
逞しい手は胸元を撫で回し、乳首を摘んでくりくりといじる。
初めて踏み入る行為に、悠耶は体を強ばらせた。
悠耶にも、これは男女が愛の証としてする例のあれだということは、なんとなく理解できた。
けれど、いまから自分たちがするなんて……。
悠耶にはまだ、実感も欲求もなかった。
男同士でどうするのかなんて、考えもできなかった。
悠耶が考えていなくても、力は考えていたようで、着々と白い肌は露にされていた。
つんと立った乳首に、舌が這わされる。
「や……」
甘い声が漏れて、悠耶は真っ赤になった。
舌と手とは容赦なく動き続ける。
「はっ……あっ……あ……」
恥ずかしいのに喘ぎを抑えられない。
身体が震えて、下半身が熱くなった。
もじもじと、腰が動いてしまう。
それに気付いたのか、力の手が悠耶の性器に移った。
「ああっ!」
敏感なそれを服の上からぎゅっと握られて、悠耶は思わず、一段と高い声を出してしまった。
「あっ、やっ、やだ……っ」
与えられ続ける刺激から逃れるように、悠耶は身を捻った。
事実、悠耶は逃げ出したいと思っていた。
このまま続けられると、都合の悪いことがあったのだ。
実は、悠耶はまだ、精通をしていなかった。
あれの大きさは普通だし、自分でこすれば勃起もする、達することもできる。
けれど、出ない。
おねしょという相当恥ずかしい秘密を知っていた力にさえ知られたくないこの悩みが、このままではばれてしまう。

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そんなこととは知らない力の手は、下着の中に入り込み、悠耶の男の部分に直に触れた。
これ以上されると、悠耶は達してしまいそうだった。
そのとき出なければ、秘密を知られてしまうことになる。
「や、やめろって」
羞恥に耐えかねて、悠耶は力を押し退けてしまった。
力は、はっと動きを止めた。
二人の乱れた呼吸だけが、悠耶に聞こえていた。
力の瞳に浮かんだ驚きが、複雑な色の落胆へと変わっていった。
困惑し、傷ついて拗ねたような表情は、ほとんど見たことのない力だった。
悠耶は、自分が何か酷いことをしてしまったのだと気付いた。
けれど具体的に、力がどういう理由で落ち込んでいるのかわからなかった。
何も永久に拒否したわけではない。
恋した相手に迫る緊張とか、拒まれて傷つく自尊心というものに、まだまだ悠耶は疎かった。
「力、あの」
自分は力を傷つけたかったのではないことをわかってもらおうと、悠耶は口を開いた。
けれども力は、それを無視するように後ろを向いてしまった。
「ごめん」
力は小さくそれだけ言って、自分の布団に入ってしまった。
いつもが優しいだけに、力のこの行動に、悠耶はひどく動揺した。
悠耶は混乱した。
ただでさえ、おむつなしでの初めての外泊を乗り切れるかと気に病んでいたのに、さらに問題が加わってしまった。
どうして力が、急にこんなにも機嫌を損ねてしまったのか。
そして、さっきのような行為を求められる以上、射精できないという秘密をカミングアウトするべきなのか。
不安が重なって、布団に入っても悠耶の目は冴えるばかりだった。
どの問題もいつものように力に相談することは許されない。
せめて失敗しませんように、と祈り、十時と十二時にトイレに行ったのだが、いつのまにやら悠耶は寝てしまった。

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これ以上されると、悠耶は達してしまいそうだった。
そのとき出なければ、秘密を知られてしまうことになる。
「や、やめろって」
羞恥に耐えかねて、悠耶は力を押し退けてしまった。
力は、はっと動きを止めた。
二人の乱れた呼吸だけが、悠耶に聞こえていた。
力の瞳に浮かんだ驚きが、複雑な色の落胆へと変わっていった。
困惑し、傷ついて拗ねたような表情は、ほとんど見たことのない力だった。
悠耶は、自分が何か酷いことをしてしまったのだと気付いた。
けれど具体的に、力がどういう理由で落ち込んでいるのかわからなかった。
何も永久に拒否したわけではない。
恋した相手に迫る緊張とか、拒まれて傷つく自尊心というものに、まだまだ悠耶は疎かった。
「力、あの」
自分は力を傷つけたかったのではないことをわかってもらおうと、悠耶は口を開いた。
けれども力は、それを無視するように後ろを向いてしまった。
「ごめん」
力は小さくそれだけ言って、自分の布団に入ってしまった。
いつもが優しいだけに、力のこの行動に、悠耶はひどく動揺した。
悠耶は混乱した。
ただでさえ、おむつなしでの初めての外泊を乗り切れるかと気に病んでいたのに、さらに問題が加わってしまった。
どうして力が、急にこんなにも機嫌を損ねてしまったのか。
そして、さっきのような行為を求められる以上、射精できないという秘密をカミングアウトするべきなのか。
不安が重なって、布団に入っても悠耶の目は冴えるばかりだった。
どの問題もいつものように力に相談することは許されない。
せめて失敗しませんように、と祈り、十時と十二時にトイレに行ったのだが、いつのまにやら悠耶は寝てしまった。

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布団の中で、悠耶は硬直した。
部屋はすでに、カーテン越しの朝の光で薄明るかった。
やってしまっていた。
お尻が冷たい。
明らかに布団が濡れている。
旅館の布団に、おねしょしたのだ。
あまりの恥ずかしさに身体が熱くなった。
どうしよう、どうしよう……。
頭に血が上って、何も考えられない。
失敗を認めたくなくて、濡れた部分を確認するのをためらう。
けれど、やってしまったものは仕方がない。
取り返しの付かないこともわかっている。
悠耶は恐々と、股間に手を伸ばした。
仰向けで寝ていたため、前はあまり濡れていない。
とはいえ下着まで手を伸ばせば、ぐっしょりだった。
夜着の後ろの部分も、かなり下のほうまで濡れている。
着る物とシーツは洗えば何とかなるが、問題は布団だった。
だが、このぐっしょり感なら、相当の被害が出てしまっていることは、見ずとも容易に想像できた。
それでも起き上がって掛け布団をどかし、自分が描いてしまった世界地図の大きさを確認する。
布団の真ん中に、堂々とした染みができていた。
シーツを剥がしてみれば、ひと回りほど小さいとはいえ明らかに色の違う部分ができている。
鼻をつく独特の臭い、ぐっしょり濡れた夜着とパンツ、シーツには大きな染み。
誰がどう見ても、おねしょだった。
冬の朝であり、濡れた下半身が冷たい。
悠耶は布団の染みを見つめた。
これからどうしよう。
ひとつ息を吐く。
力に助けを求めてしまえば楽になれる。
だが、恋人になったからには力に頼らず自分で対処しようと決めたはずだった。
悠耶は着ていた物を全て脱ぎ、鞄から着替えを取り出した。
運よく部屋に備わっていた内風呂でお湯を出し、タオルで汚れた身体を拭いた。
服を着て風呂から出ると、部屋は先ほどよりも明るくなっていた。
時刻は七時過ぎで、一時間もしないうちに力も起きるはずである。
悠耶は、濡れた衣服と染みを、掛け布団で隠した。
その隣に体育座りをして、溜め息を吐く。
またおねしょをしてしまったという事実が悔しくて情けなくて、涙がこぼれそうになった。
急いで目をこする。
今度は不安になってくる。
力に何て言おう……きっと呆れるだろうな、せっかくの旅行なのに。
考えると、力にいつまでも寝ていて欲しいような、それでも早く打ち明けてしまいたいような気がした。
八時に近くなって、力がもぞっと動いた。
悠耶は、身体をびくりと緊張させた。
失敗を力に知られると思うと、早くも羞恥に顔が熱くなった。
力は緩慢な動作で起き上がり、こちらを見た。
いつもなら悠耶を見るなり微笑んで、おはよう、と言ってくれるはずの力が、今日は不機嫌そうに黙っている。
失敗を見透かされているような気がして、悠耶は何も言えなくなってしまった。

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部屋はすでに、カーテン越しの朝の光で薄明るかった。
やってしまっていた。
お尻が冷たい。
明らかに布団が濡れている。
旅館の布団に、おねしょしたのだ。
あまりの恥ずかしさに身体が熱くなった。
どうしよう、どうしよう……。
頭に血が上って、何も考えられない。
失敗を認めたくなくて、濡れた部分を確認するのをためらう。
けれど、やってしまったものは仕方がない。
取り返しの付かないこともわかっている。
悠耶は恐々と、股間に手を伸ばした。
仰向けで寝ていたため、前はあまり濡れていない。
とはいえ下着まで手を伸ばせば、ぐっしょりだった。
夜着の後ろの部分も、かなり下のほうまで濡れている。
着る物とシーツは洗えば何とかなるが、問題は布団だった。
だが、このぐっしょり感なら、相当の被害が出てしまっていることは、見ずとも容易に想像できた。
それでも起き上がって掛け布団をどかし、自分が描いてしまった世界地図の大きさを確認する。
布団の真ん中に、堂々とした染みができていた。
シーツを剥がしてみれば、ひと回りほど小さいとはいえ明らかに色の違う部分ができている。
鼻をつく独特の臭い、ぐっしょり濡れた夜着とパンツ、シーツには大きな染み。
誰がどう見ても、おねしょだった。
冬の朝であり、濡れた下半身が冷たい。
悠耶は布団の染みを見つめた。
これからどうしよう。
ひとつ息を吐く。
力に助けを求めてしまえば楽になれる。
だが、恋人になったからには力に頼らず自分で対処しようと決めたはずだった。
悠耶は着ていた物を全て脱ぎ、鞄から着替えを取り出した。
運よく部屋に備わっていた内風呂でお湯を出し、タオルで汚れた身体を拭いた。
服を着て風呂から出ると、部屋は先ほどよりも明るくなっていた。
時刻は七時過ぎで、一時間もしないうちに力も起きるはずである。
悠耶は、濡れた衣服と染みを、掛け布団で隠した。
その隣に体育座りをして、溜め息を吐く。
またおねしょをしてしまったという事実が悔しくて情けなくて、涙がこぼれそうになった。
急いで目をこする。
今度は不安になってくる。
力に何て言おう……きっと呆れるだろうな、せっかくの旅行なのに。
考えると、力にいつまでも寝ていて欲しいような、それでも早く打ち明けてしまいたいような気がした。
八時に近くなって、力がもぞっと動いた。
悠耶は、身体をびくりと緊張させた。
失敗を力に知られると思うと、早くも羞恥に顔が熱くなった。
力は緩慢な動作で起き上がり、こちらを見た。
いつもなら悠耶を見るなり微笑んで、おはよう、と言ってくれるはずの力が、今日は不機嫌そうに黙っている。
失敗を見透かされているような気がして、悠耶は何も言えなくなってしまった。

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鎌倉の旅館での力の一泊目は、とても快眠とは呼べなかった。
就寝前に、恋人の悠耶に性行為を拒絶されたのである。
確かに悠耶にも断る権利はある。
だが、泊まりの旅行に応じてくれた時点で、行為のほうにも応じてもらえたのだと力は思い込んでいた。
それだけに、悠耶に力強く押しのけられたショックは大きかった。
いつものように冷静に感情をコントロールすることができなくて、逃げるように布団に潜った。
すぐに寝付けるはずもなく、気まずい思いで目を瞑っていた。
悠耶が二度ほどトイレに行ったのに気付いても、深く理由を考えもしなかった。
しばらくして、うとうとしたかと思うと、もう朝だった。
寝不足の身体をゆっくり起こす。
悠耶を見れば、体育座りをしている。
それが力の目には、警戒しているように映った。
俺に触られたのが、そんなに嫌だったのか……それなら最初から、宿泊の旅行に賛成なんかしなければいいものを。
さすがの力も、むっとしたとき、悠耶の表情が崩れた。
一瞬だけ耐えるような強張った表情を見せたかと思うと、泣き出してしまった。
「どうした、悠耶?」
力は驚いて、気まずさも不機嫌さも忘れて悠耶に近寄った。
「悠耶?」
膝を付いて、悠耶の顔をのぞき込む。
「ごめん、なさい」
悠耶はかすれた声で謝罪をした。
昨夜のことだろうか、と力は考えた。
「いや、悠、俺が悪かった。昨日は……」
言葉の途中で悠耶が首を振った。
「お、俺、治ってなかった」
悠耶が俯いて絞り出すように告げた。
治ってなかった。
何のことだか気付いて、力は言葉を失った。
悠耶のおねしょ癖は、もう治ったのだと思い込んでいた力は、虚を衝かれた。
昨晩の自分の行動を改めて思い出して、深く後悔した。
悠耶にとっては昨夜が、おむつなしでの初めての外泊だったことに、ようやく思い至ったのだ。
不安があったはずなのに、そのことに気付いて気遣うことができなかった。
それどころか、自分の欲望をぶつけることしか考えていなかった。
最悪だ、俺は。
力は、がくりと肩を落とした。
視線の先には、しっかり掛け布団で覆われた敷布団。
その中はぐっしょり濡れていると思うと、力は罪悪感でいっぱいになった。
これまでずっと、悠耶が外泊で布団を濡らさずに済むように協力して、成功してきた。
この前の沖縄でのような小さなミスは何度かあったが、周囲に知られるような事故は一度もなかった。
それなのに。
恋人同士になって、今までより近い関係になって、布団に失敗させてしまった。
悠耶とは幼馴染でいつも一緒にいたのに、実は全然、理解できていないのかもしれない。
そんな考えが、ふと浮かんだ。
だとしたら、悠耶と付き合う資格、まして身体を重ねるような資格は、ないのではないか。
責任感の強い力だけに、瞬時に思い詰めてしまった。

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就寝前に、恋人の悠耶に性行為を拒絶されたのである。
確かに悠耶にも断る権利はある。
だが、泊まりの旅行に応じてくれた時点で、行為のほうにも応じてもらえたのだと力は思い込んでいた。
それだけに、悠耶に力強く押しのけられたショックは大きかった。
いつものように冷静に感情をコントロールすることができなくて、逃げるように布団に潜った。
すぐに寝付けるはずもなく、気まずい思いで目を瞑っていた。
悠耶が二度ほどトイレに行ったのに気付いても、深く理由を考えもしなかった。
しばらくして、うとうとしたかと思うと、もう朝だった。
寝不足の身体をゆっくり起こす。
悠耶を見れば、体育座りをしている。
それが力の目には、警戒しているように映った。
俺に触られたのが、そんなに嫌だったのか……それなら最初から、宿泊の旅行に賛成なんかしなければいいものを。
さすがの力も、むっとしたとき、悠耶の表情が崩れた。
一瞬だけ耐えるような強張った表情を見せたかと思うと、泣き出してしまった。
「どうした、悠耶?」
力は驚いて、気まずさも不機嫌さも忘れて悠耶に近寄った。
「悠耶?」
膝を付いて、悠耶の顔をのぞき込む。
「ごめん、なさい」
悠耶はかすれた声で謝罪をした。
昨夜のことだろうか、と力は考えた。
「いや、悠、俺が悪かった。昨日は……」
言葉の途中で悠耶が首を振った。
「お、俺、治ってなかった」
悠耶が俯いて絞り出すように告げた。
治ってなかった。
何のことだか気付いて、力は言葉を失った。
悠耶のおねしょ癖は、もう治ったのだと思い込んでいた力は、虚を衝かれた。
昨晩の自分の行動を改めて思い出して、深く後悔した。
悠耶にとっては昨夜が、おむつなしでの初めての外泊だったことに、ようやく思い至ったのだ。
不安があったはずなのに、そのことに気付いて気遣うことができなかった。
それどころか、自分の欲望をぶつけることしか考えていなかった。
最悪だ、俺は。
力は、がくりと肩を落とした。
視線の先には、しっかり掛け布団で覆われた敷布団。
その中はぐっしょり濡れていると思うと、力は罪悪感でいっぱいになった。
これまでずっと、悠耶が外泊で布団を濡らさずに済むように協力して、成功してきた。
この前の沖縄でのような小さなミスは何度かあったが、周囲に知られるような事故は一度もなかった。
それなのに。
恋人同士になって、今までより近い関係になって、布団に失敗させてしまった。
悠耶とは幼馴染でいつも一緒にいたのに、実は全然、理解できていないのかもしれない。
そんな考えが、ふと浮かんだ。
だとしたら、悠耶と付き合う資格、まして身体を重ねるような資格は、ないのではないか。
責任感の強い力だけに、瞬時に思い詰めてしまった。

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