ゆずきのBL小説ブログです。
頼りになる幼馴染攻め×おねしょが治らない受けです。
ちまちま更新します。
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冷たい……。
不快な感覚に、悠耶は目を覚ました。
ほぼ無意識に手が動いて、股間から尻にかけてを、続いて尻の下のシーツを触ってみる。
大丈夫だ。
悠耶は安堵の息を吐き出した。
おむつから漏れてしまうことはなかったようだった。
ゆっくりと、悠耶は身体を起こした。
薄暗い部屋、見慣れない調度。
右を向けば力のベッド、その奥にある大きな窓はカーテンが閉まっているが、隙間から差し込む僅かな太陽の光が、朝を知らせる。
力はぐっすりと眠っている。
携帯電話で時間を確認すると、六時五十五分だった。
アラームをセットした七時より、早く起きたのだ。
悠耶はアラームを解除した。
トイレに入り、汚れたものを処理して、タオルを濡らして局部を拭いた。
ピピピピっ、ピピピピっ。
その途中で電子音が響き、悠耶はびくりとした。
力の携帯電話のアラームが鳴っているのだ。
暫く鳴り続けて、止まる。
悠耶がトイレから出ると、力は携帯電話を握り締めてベッドに突っ伏していた。
悠耶は、自分のベッドに乗っかって、力の顔を覗きこんだ。
また寝ちゃったのかな?
そう思ったとき、力が薄く目を開けた。
「おはよ、悠」
「おはよ、力、まだ二十分は寝られるよ」
時刻は七時、朝食は七時半からだった。
さっと顔を洗って着替えれば出発できる力は、集合の十分前までは寝られるはずだった。
それを、悠耶に合わせて七時にアラームをかけていたのだ。
悠耶は、今日は無事だったが、寝相が悪かったり吸収しきれなかったりで、下着やパジャマを汚すことがある。
最近ではごく稀になったのだが、万が一のときに焦らないように、早めにアラームをセットしたのだ。
力は朝が弱く、一分一秒でも長く寝たいはずである。
それを悠耶は知っているから、申し訳ない気分になるのだった。
「いや、起きる」
力が目をこすって立ち上がる。
二人が顔を洗って身支度を調えても、朝食まで少し時間が余った。
手持ち無沙汰にベッドに座って、悠耶が切り出した。
「俺と同室じゃなかったら、もう少し寝られたのに、ごめん」
こういうことを言うのを、力が好まないことは分かっている。
でも、悠耶は言わずにはいられなかった。
「悠耶じゃない奴と同じ部屋だったら、二人で寝坊っていう可能性が高いけどな」
冗談めかして力は笑う。
悠耶は、作り笑顔を浮かべることもせず、小さく頷く。
「それに、俺がこんなじゃなければ、力はもっと自由に誰と同室になるかとか決められて、自由行動も他の奴とできるし」
「自由行動は関係ないだろ」
力が、以外にも強い口調で反論した。
「俺は、悠と一緒の部屋でも違っても、自由時間には悠を誘うし、それに」
力が言葉を止めて、ちら、と悠耶の顔色をうかがう。
「悠耶がどんなでも、俺は一生、悠耶と同室がいい」
「えっ、一生……!?」
悠耶は思わず聞き返した。
一生って、これからの人生で、まだ、そんなにたくさん宿泊行事があったっけ?
そんなことを考えたのである。
だから、力が赤くなっていても、なぜなのか理解できなかった。
「い、いや、違……いまのは取り消し……」
そわそわと、力は逡巡する。
だが、それもつかの間。
「じゃなくて、保留!」
そう言い直した。
「さ、飯だ、飯」
そして急いで立ち上がると、ドアを開けて出て行ってしまった。
「待てって」
悠耶も部屋の鍵を持って、慌ててその後を追った。
「力、保留って何だよ」
自由行動や帰りの電車の中でまで、悠耶は何度も聞いたのだが、力は教えてくれない。
「時が来たら、な」
そう言うだけである。
来年の宿泊行事のときに、また聞いてみよう……そのときは、治っているといいな。
かたくなに口を閉ざす力の隣で、そっと、悠耶は願った。
<第一話 完>

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不快な感覚に、悠耶は目を覚ました。
ほぼ無意識に手が動いて、股間から尻にかけてを、続いて尻の下のシーツを触ってみる。
大丈夫だ。
悠耶は安堵の息を吐き出した。
おむつから漏れてしまうことはなかったようだった。
ゆっくりと、悠耶は身体を起こした。
薄暗い部屋、見慣れない調度。
右を向けば力のベッド、その奥にある大きな窓はカーテンが閉まっているが、隙間から差し込む僅かな太陽の光が、朝を知らせる。
力はぐっすりと眠っている。
携帯電話で時間を確認すると、六時五十五分だった。
アラームをセットした七時より、早く起きたのだ。
悠耶はアラームを解除した。
トイレに入り、汚れたものを処理して、タオルを濡らして局部を拭いた。
ピピピピっ、ピピピピっ。
その途中で電子音が響き、悠耶はびくりとした。
力の携帯電話のアラームが鳴っているのだ。
暫く鳴り続けて、止まる。
悠耶がトイレから出ると、力は携帯電話を握り締めてベッドに突っ伏していた。
悠耶は、自分のベッドに乗っかって、力の顔を覗きこんだ。
また寝ちゃったのかな?
そう思ったとき、力が薄く目を開けた。
「おはよ、悠」
「おはよ、力、まだ二十分は寝られるよ」
時刻は七時、朝食は七時半からだった。
さっと顔を洗って着替えれば出発できる力は、集合の十分前までは寝られるはずだった。
それを、悠耶に合わせて七時にアラームをかけていたのだ。
悠耶は、今日は無事だったが、寝相が悪かったり吸収しきれなかったりで、下着やパジャマを汚すことがある。
最近ではごく稀になったのだが、万が一のときに焦らないように、早めにアラームをセットしたのだ。
力は朝が弱く、一分一秒でも長く寝たいはずである。
それを悠耶は知っているから、申し訳ない気分になるのだった。
「いや、起きる」
力が目をこすって立ち上がる。
二人が顔を洗って身支度を調えても、朝食まで少し時間が余った。
手持ち無沙汰にベッドに座って、悠耶が切り出した。
「俺と同室じゃなかったら、もう少し寝られたのに、ごめん」
こういうことを言うのを、力が好まないことは分かっている。
でも、悠耶は言わずにはいられなかった。
「悠耶じゃない奴と同じ部屋だったら、二人で寝坊っていう可能性が高いけどな」
冗談めかして力は笑う。
悠耶は、作り笑顔を浮かべることもせず、小さく頷く。
「それに、俺がこんなじゃなければ、力はもっと自由に誰と同室になるかとか決められて、自由行動も他の奴とできるし」
「自由行動は関係ないだろ」
力が、以外にも強い口調で反論した。
「俺は、悠と一緒の部屋でも違っても、自由時間には悠を誘うし、それに」
力が言葉を止めて、ちら、と悠耶の顔色をうかがう。
「悠耶がどんなでも、俺は一生、悠耶と同室がいい」
「えっ、一生……!?」
悠耶は思わず聞き返した。
一生って、これからの人生で、まだ、そんなにたくさん宿泊行事があったっけ?
そんなことを考えたのである。
だから、力が赤くなっていても、なぜなのか理解できなかった。
「い、いや、違……いまのは取り消し……」
そわそわと、力は逡巡する。
だが、それもつかの間。
「じゃなくて、保留!」
そう言い直した。
「さ、飯だ、飯」
そして急いで立ち上がると、ドアを開けて出て行ってしまった。
「待てって」
悠耶も部屋の鍵を持って、慌ててその後を追った。
「力、保留って何だよ」
自由行動や帰りの電車の中でまで、悠耶は何度も聞いたのだが、力は教えてくれない。
「時が来たら、な」
そう言うだけである。
来年の宿泊行事のときに、また聞いてみよう……そのときは、治っているといいな。
かたくなに口を閉ざす力の隣で、そっと、悠耶は願った。
<第一話 完>

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