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ゆずきのBL小説ブログです。                      頼りになる幼馴染攻め×おねしょが治らない受けです。        ちまちま更新します。
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保田が悠耶のおねしょ癖を知ったのは、悠耶が中学に上がった春だった。
それから丸四年、悠耶のおねしょは、いまだ続いている。
漢方や点鼻薬など一般的な治療では、量が少し減ってくれるくらいの効果しかなく、副作用の問題もあり、いまは治療を中断している。
おねしょ……夜尿症という病気は、直接的に健康や命に関わるものではない。
だが、治るか治らないかで、悠耶の人生は全く違うものになるのではないか。
保田は医者として、悠耶を治せていないことを、すまなく思っている。
しかし謝罪してしまえば、治せないと言うのと同じ気がして、悠耶に対しても明るく、おねしょのことなど気にしていない素振りで接していた。
「もう学校は始まったよね?二年生になったのかな」
「はい」
悠耶が小さく頷く。
高校二年生ともなれば、瞳は卒業後の進路を見据えて爛々と輝いてくるものであるが、悠耶の眼は、ふわふわと空中を見つめて彷徨っていた。
卒業後の進路より、現在までずっと抱えてきた問題のほうが、悠耶には余程、悩みなのだ。
そして悠耶が保田を訪ねるからには、この悩みのことで相談があるのだろう。
保田は、少しずつ探りを入れることにした。
「力くんとは、同じクラスになれた?」
悠耶の幼馴染である神野崎力も、幼いころに熱を出すと、やすだ医院に掛かっていた。
真摯で冷静であり、悠耶のおねしょを知る力を、悠耶のサポート役として保田も頼りにしていた。
「いや、違うクラスなんですけど」
そこで悠耶は言い淀んだ。
「そっか、残念だったね」
保田が優しく微笑みかける。
「あ、でも、大丈夫です」
保田が続きを促すように視線を向けると、悠耶はなぜか頬を紅くした。
「修学旅行の班は、クラスを超えてもいいんで。同じ班になれば、部屋も一緒になれるし」
悠耶が力なく笑う。
「うん、それなら安心だね」
何が安心なのかと言えば、もちろん夜のことである。
悠耶の言葉は、力と同じ部屋にならねばならない、つまり、まだおねしょが治っていないことの暴露である。
「……はい」
悠耶はますます顔を紅潮させた。
それから保田を上目遣いにちら、と見て、目を伏せた。
言葉を探すように、しばし逡巡し、躊躇いがちに顔を上げる。
「先生、おれ、治るのかな……昨日でもう十七歳になっちゃったのに」
悠耶の声はか細く消えていって、保田はこの未成年の患者に、自分が医者としても大人としても無力であることが、情けなかった。



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