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ゆずきのBL小説ブログです。                      頼りになる幼馴染攻め×おねしょが治らない受けです。        ちまちま更新します。
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このたびの修学旅行で、力と同室になる予定だった風見爽介は、見るからに能天気な男だった。
背は力と同じくらいだが細身で、口は常に笑みを形作り、目をきょろきょろとせわしなく動かしている。
その爽介に、力は悠耶たちの班と合体することを提案した。
中学も一緒だったから、爽介は悠耶とも友達だ。
「おお、また急な話だな」
爽介が困惑するでもなく頷いたので、力はさっさとことを進めた。
悠耶が連れてきた意多綾人という男は、爽介とは真逆に落ち着いて、小柄で童顔、少女のようなあどけなさを漂わせていた。
「ふーん、かわいらしい子だな」
爽介が力に囁く。
力が見遣ると、爽介は綾人をじろじろ見つめていた。
爽介が綾人に興味を持っているのは、力にとっては都合が良かった。
二人をを仲良くさせて、ついでに同室にしてしまう、これが力の作戦であった。
「意多くん、よろしく」
初対面の力が挨拶すると、綾人はにこっと微笑んだ。
「はい、こちらこそ、よろしく。二人じゃ寂しいかなって、僕も思ってたんだ。ね」
綾人は悠耶に同意を求めた。
「うん、爽介もありがとう」
悠耶の表情にも明るさが戻り、力は一安心した。

力の作戦は思いのほかうまくいった。
沖縄での第一日目は、バスで決められたルートを廻りながら観光するというものだった。
ひめゆりの塔、テーマパーク、硝子細工工房など、有名どころを巡るうち、爽介は綾人が気に入ったらしく、意多ちゃん、と親しげに呼び始めた。
綾人は嫌がる素振りもせず、爽介に微笑みかけて並んで歩く。
自然に悠耶と力が一緒に歩くことになり、何気ない流れで同じ部屋に入ってしまうことができたのだった。
深夜一時、そろそろ寝ようかというときだった。
「力、ごめん」
悠耶が切り出す。
二人は部屋で、互いのベッドに座っていた。
力は見守るような目を悠耶に向けた。
「おれ最近、力に冷たくしちゃってたよね……? なんか、力と一緒にいるとおかしいんだ」
「おれのことが嫌いになった?」
ゆっくりとした声で、力が問う。
「違う、そんなわけないのに……」
「悠、おれは何言われても大丈夫だから」
悠耶は黙って、話し始めるタイミングを計るように何度か力をちらりと見た。
力には悠耶の話そうとしていることがわからない。
「やっぱり、恥ずかしいでしょ、こ、高校生にもなって、おねしょ、なんて。それで、力はいつも助けてくれて、すごく助かってるのに、なんか羨ましいっていうか、おればっかり情けなくって、力との差がどんどん開いていく感じで、力のそばにいると苦しくって……ごめん、力、おれ、そんな自分が嫌で、ちょっと避けてたんだよ」
「いいよ」
力の言葉は率直だった。
「結局、こうやって最終的には一緒にいることを選んでくれるのなら、ときには避けたって、いいよ」
それに、そういう距離だって、新しい二人の関係には必要なのかもしれない。
力にとっても、いつもいつも悠耶と一緒にいたいと思っていた考えが、少し変えられた瞬間だった。
沖縄での一日目の夜は、こうして更けていった。



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