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ゆずきのBL小説ブログです。                      頼りになる幼馴染攻め×おねしょが治らない受けです。        ちまちま更新します。
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やすだ医院に二人の男子高校生が訪れたのは、九月の最後の金曜日だった。
夏の日が恋しく感じられる、残暑も薄れつつあるこの日、連れ立ってやって来た真瀬悠耶と神野崎力は、医院の主である保田衛に紅芋タルトのひと箱を手渡した。
「修学旅行のお土産です」
悠耶の声に、顔に、久しく感じられなかった溌溂さがあった。
「ああ、沖縄に行っていたんだよね。ありがとう」
保田は小児科医の優しい笑顔を悠耶に向けてから、力の表情をうかがった。
今日の力には、子供を見る親の温かさに加えて、新婚のような初々しさがあった。
新婚?
保田はこの二人が今日、自分に何を伝えにきたのかを想像する。
悠耶の溌溂さが、そして力の初々しさが示すことを。
例によって診察室に二人を座らせると、まず口を開いたのは悠耶だった。
「先生、今日は、ご報告があって来ました」
「うん」
保田はゆったりと相槌を打つ。
力はじっと悠耶を見つめている。
悠耶が、嬉しそうに保田の目を捉える。
「おれ昨日、おねしょしなかったんです」
告げる悠耶の声は震えていた。
その報告を保田は予期してはいたが、悠耶の口から聞いてみると、保田も感極まった。
「本当かい?それは、よかった!」
「はい」
悠耶はこくりと頷いて、こんなことを言い出した。
「力が、治してくれたんです」
「力くんが?」
悠耶が、おねしょが治ったのは力のお陰だと思っていたなんて、力自身も初めて聞いたことであり、思わず隣りの悠耶に顔を向けた。
「悠、おれは何もしていないぞ」
「キ、キス、してくれたでしょ?」
悠耶の言葉に、力は目を見開いて顔を紅潮させた。
「おれ、キスするの初めてだったし、初めてキスした日におねしょしなかったんだから、やっぱりキスのお陰だと思うんです」
悠耶は赤くなりながらも、真剣に保田に訴えた。
「まさか……」
力が呟くのも無理はない。
ほとんどの人は、ファーストキスのかなり前におねしょが治るものである。
だが保田は、悠耶の論を真っ向から否定する気はなかったのである。
「いや、悠耶くんがそう感じるのなら、昨日おねしょしなかったのはキスのお陰なのかもしれない」
力は心底意外そうな顔を保田に向けたが、保田が前言を翻す素振りのないのを見て取ると、自分で解釈をしたのか、徐々に納得の表情に変わっていった。



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