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ゆずきのBL小説ブログです。                      頼りになる幼馴染攻め×おねしょが治らない受けです。        ちまちま更新します。
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小児科医の保田から悠耶のそばにいて欲しいと請われ、また、力自身もそうしたいと願っているにもかかわらず、結局、力はその気持ちを伝えないまま、その日を迎えてしまった。
九月の最後の水曜日、力たちの修学旅行の初日の朝である。
力と悠耶にとって、初めて別々の部屋に泊まる宿泊行事。
とは言え、けんかをしているわけでもないので、集合場所の空港までは、もちろん一緒だった。
電車を乗り継ぐべく二人は、朝の駅構内をスーツケースを引きながら、通勤客に混じって歩いていたが、つと悠耶が立ち止まった。
「悠耶?」
力も立ち止まって振り向けば、悠耶はじっと俯いている。
「……おれ、やっぱり、行かない」
突然わけもなく機嫌を損ねてぐずりだす子供のようなことを言い出す悠耶に、力は驚いた。
切なげに足もとを見つめて動かない悠耶の心情を、力はそっと考えた。
悠耶は、やはり夜のことが不安なのだろう。
同じ部屋に泊まる予定になっている、意多綾人という男にも、まだおねしょのことは話していないのかもしれない。
こんなことになるのなら、初めから力と同室になっておけばよかったのだ。
それは、悠耶もわかっているはずである。
それを、わざわざ力を避けるように、意多と組んだのは、悠耶の中で、何かが変化しようとしているのではないか。
それが何なのか、力にもわからないが、力と悠耶の関係にすら現に影響を及ぼしている。
力は、悠耶の手を優しく握った。
「行こう」
手を引くと、悠耶は一歩進んでまた止まってしまう。
「おれの部屋に泊まればいいよ。おれはバカの風見と二人の班だし、あいつを追い出して、悠耶がくればいい」
「そんなの無理だって」
否定的な言葉を発しつつも、悠耶の目には期待がこもっていて、力は安心した。
悠耶は不安さえ解消されれば、修学旅行に行かないなどと言わないはずだ。
力には、このまま悠耶を帰してしまうなんていうことは、どうしてもできなかった。
「大丈夫、おれが、なんとかするから、な」
力が強く手を引くと、悠耶は歩き出してその手をぎゅっと握り返した。
「力、ごめん、ありがと」
繋いだ手と手が二人の新しい関係を象徴しているように思えて、力はどきどきとしていた。
悠耶が力以外と同室に泊まろうとしたことは、確かに変化であり成長なのだろう。
離れていこうとした悠耶は、しかし結局は力の隣に戻って来て、力は喜んでそれを受け入れた。
その先に、何があるのか。
何があっても悠耶のそばに。
その気持ちに、力はもう迷わなかった。


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